事前にツイッターなどで一般公募していた羽生善治二冠への質問コーナー
徳田さん「プロ棋士の対局でもクールビズというのは実施されるのでしょうか?」
羽生二冠「クールビズとか節電というのは気をつけてやっているとは思いますが、服装はタイトル戦の時は着物とかですけれども、予選の時は結構クールビズっぽい感じで対局している人も中にはいます」
徳田さん「クールビズっぽいっていうのはどのような」
羽生二冠「シャツを着てノーネクタイっていう感じでっていう人もいますけど、全般としてはスーツでって人が多いですけど、特に規則とかがあるわけではないので、こういう格好で行ってはいけないというようなことはなくて基本的には自主性に任されています。ただ、余りにも目に余るっていう場合ですと注意はあると思いますけれども、そのへんは良心というか自主性に委ねられているというところですね」
徳田さん「歌のコーラス参加されましたけれども、普段コンサートとかには行かれているのでしょうか?」
羽生二冠「コンサートとかは行ったことほとんどないですね。だからすごく新鮮な感じでした。音楽スタジオも入ったことがなかったので、こんな感じでやっているのかというのがなんか見ていて面白かったですね」
徳田さん「事前に練習はされましたか?」
羽生二冠
「いや、こういう感じでというのは曲を送って貰っていたんですけれども、練習は特にはしていません。それにいっぱいの人がコーラスで参加しているから、『まぁ大丈夫だろう』っていうことで」で、会場大爆笑!
※羽生さんが参加したコーラスというのは、
東日本大震災復興応援チャリティーソング「RESTART」です。
イベント終了後に羽生さんに伺ったところ、TUBEの前田亘輝さんから直接オファーを頂いたそうです。
徳田さん「棋聖戦防衛の感想をお願いします」
遠山雄亮五段「さっきの将棋世界で第1局出ていましたけれども、そのまま3連勝で先日防衛を果たされました。おめでとうございます」
羽生二冠「どうも」
会場のお客さんからも大きな拍手を受け、お辞儀をする羽生二冠
「どうもありがとうございます。そうですね。ひとつタイトル戦が終わるとホッとするという感じはありますね。ひとつ結果を出せたということで、嬉しいという気持ちもありますし、また次頑張っていこうっていう気持ちにもなりますね。例えば、棋聖戦ですと3局目が熊本の水前寺公園という所で対局したんですけれども、色んな場所で対局できるのでそれがまた思い出になったりとかそういうこともよくあります」
徳田さん「切り替えっていうのは意識されているのでしょうか?」
羽生二冠「それは、そうですね。対局が続いていく時とかだと、次に集中していくっていうのは非常に切り替えは大事だと思っています」
遠山五段「何か具体的にこうやって切り替えるというのはあるんですか? 前の将棋を色々研究して自分の中で消化させて終わりにするとかそういうようなことはありますか?」
羽生二冠
「あー、そうですね。できれば感想戦で自分なりの結論というか総括をするとか、ヤケ酒を飲まないとか」で、会場大爆笑!
遠山五段「飲まないんですね。そこで一回区切りをつけて」
羽生二冠「そこで、一区切りちゃんとつけて次に望むと。はい」
遠山五段
「私も参考にしたいと思います」
徳田さん「続いてお二人に聞きたいのですが、年を取ってくると負けがものすごい堪えるのですが、これはどのように将棋と付き合っていけば良いのでしょうか?」
羽生二冠「
そうですね。年を重ねると、忘れる機能も伸びていくということもあるので、やはり忘れるというのがいいのではないでしょうかね。どんどんと。いや、日常生活に支障をきたすのは問題ありますけれども、問題のない範囲で必要のない事はどんどん忘れていくということがいいのかなぁって思っています。もちろん、覚えておくというのもあると思うのですけれども、なんでもかんでも覚えているっていうのも結構しんどい話なので、適当に忘れるっていうのはいいんじゃないかなぁって、将棋も一局指して反省するのも大事なんですけれども、忘れてしまって、次っていうのもいいような気がします」
遠山五段「私も忘れるという機能がスゴク大事なんじゃなかなと思うんですけど、私も20代の頃と比べると記憶力が少し低下しているのが自分でも感じるので、
もうどうでもいい事はどんどん忘れて、日常生活には支障をきたさない程度に、将棋の事とかも特に負けた事は全部忘れて、だから負けたことは無かった事にすればいいんじゃないですか」で、会場大爆笑!
遠山五段「記憶の中では自分が負けても、勝ったとか適当に思っているとだんだんゴチャゴチャになってきてわからなくなりそうなので、あんまり気にしないというのがいいんじゃないでしょうか」
徳田さん「仕事ではない視点で将棋を捉えることはあるのでしょうか?」
羽生二冠「あー、何ていうんでしょうかね。あのー、例えば職業と言ったら『将棋の棋士です』っていうのがあるんですけれども、大部分の人と違って、将棋の世界に入ったのが12歳の時でして、筆記試験というのもあるんですけれども、子供ですからそんなに難しいものをやるわけではないですし、面接とかも受けるわけでもないですし、そういう社会人になったとか職業に就いたとかいう実感はあまりないんですね。
ただ、棋士になると『と金のバッジ』が貰えるんですけれども、それを見ると『なったのかな』っていう感じがするぐらいで、あんまりそういうのを実感するのが少ないですね。昇段して免状を貰うとかそういう時は感慨というのは確かにあるんですけれども、なんとなくそれを仕事という風に捉える感覚というのは非常に希薄ですね」
徳田さん「遠山先生もそのような感じなんですか?」
遠山五段「いや、ちょっと違うかもしれませんね。それはやっぱり羽生さんはプロになられてからずっと第一線で活躍されて、すごくお忙しいなかで全速力で駆け抜けているのと、私はプロ棋士になってから少しゆとりのある時間もあったりすると、少し仕事という感じもありましたけれども、最近は編集長になってちょっと忙しくなって、公私の区別もなくなった感じになって、どれが仕事でなにが趣味でっていうのもあんまり関係なくなってきて、それはそれで全然いいんですけれども、ツイッターとかも私生活でやっているのか、公的にやっているのかというのも境はなくて、まぁだいたいな感じですね」
羽生二冠「それは、でも棋士って会社に行って仕事をするというような形態じゃないじゃないですか。別にウチにいても頭の中で将棋の事を考えているというケースもあるわけなので、そういう意味でも確かに公私の選別って難しいですよね」
徳田さん「ほぼ全員の棋士の方もそうではないかということですよね」
羽生二冠
「そうですね。見た目もわからないんですよ。ボーっとしていても、真面目に考えていても見た目は同じですから」で、会場大爆笑!
羽生二冠
「ホントは何にも考えてなくても『実は考えていたんだ』とかですね」
徳田さん「趣味としての感覚とか仕事としての感覚というのは地続きのようなものでしょうか?」
羽生二冠「そうですね。ただ、小学生ぐらいの時に指していたホントに趣味としての将棋という感覚とはやっぱりちょっと違うっていうのはありますね。それとはまた違う楽しさとか面白さはあるんですけど、ただ単に面白くするっていうものとは違う面もあります」
徳田さん「最後の質問にいってみます。将棋アプリを使い続けて、実際に棋力はアップするのでしょうか?」
羽生二冠「あのー、将棋をやっていく時って、もちろん見るっていうのも非常に大事だと思いますし、触れるっていうのも大事だと思いますし、やっぱり色んな形で携わっていくっていうのが一番魅力を知るっていう事になると思うので、そういう意味では色んな機能とか色んな形で将棋に関わるということができれば自然に上達していくものだっていう風に思っています」
羽生二冠
「好きこそものの上手なれって言葉ありますけれども、色んな角度というか色んな楽しみ方を知っているという事が、上達にも繋がるということだと思います」
徳田さん「遠山先生はいかがですか?」
遠山五段「私も同じ意見で、やっぱりモバイルとかですと携わりやすいということで、いつでも見られるとか、毎日少しでも触れられるという、それは『日本将棋連盟ライブ中継』も同じようなコンセプトで始まっているので、一日に少しでもいいからプロの将棋を見て欲しいという所からスタートしているので、やはり見やすいですからね。少しずつでも携わることで、強くもなるし楽しめるんじゃないかと私も思います」
徳田さん「勉強法に正しいとか正しくないというのは無いってことでしょうか?」
羽生二冠「無いですね。ただ、こういうことはあると思います。今、普通に社会の中で働いていると、細切れの時間ってあるじゃないですか。その細切れの時間を有効に使うとか、面白く使うっていう時に非常にいいっていう所があるんじゃないんですかね」
徳田さん「短い時間でもいいからって事ですよね」
羽生二冠「そうですね。はい」
徳田さん「イベントのプログラムは以上で終了となります。羽生先生、遠山先生、本日はどうもありがとうございました」
「どうもありがとうございました」
徳田さん「最後に感想よろしいでしょうか?」
羽生二冠「私も結構今までいろんなイベント出てきたんですけど、こういう形式でイスに座ってっていうのはあまり無くて、これが将棋のイベントというので、不思議な経験でしたね。たくさんの人に来て頂いてありがたかったですし、いろんな可能性がこれからあるんだなぁっていうことを自分も実感しました」
遠山五段「私の感想になると、
『日本将棋連盟ライブ中継』の宣伝になっちゃいますけど、『ライブ中継』で見る。
『i羽生将棋』で指すというのは、宣伝でグイグイ推しているだけではなくて、実際に私は色々なアプリを触っていますけれども、その中でもスゴク優れているというか皆さんにも使い勝手の良いアプリだと思いますので、ぜひ使い始めて、今後も使い続けて頂ければと思います。ありがとうございます」
ありがとうございました
以上で「教えて、羽生先生!」のイベントが終了しました。
場内アナウンス「本日は『教えて、羽生先生!』ということで、iPhone、iPadで楽しむことが出来る将棋について皆様にはご覧頂きました、『i羽生将棋』も好評ダウンロード中ということでですね、ぜひ皆様にそちらも触って頂けたらと思います。本日はありがとうございました」
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